7th. album

RUNNERS HIGH

1999.01.22 out!!
キングレコード
KICS-710 / ¥3,059(tax in)
  1. Sad Sad Kiddie
  2. インスタント ミュージック
  3. Juliet
  4. White Ash
  5. NO SELF CONTROL
  6. Wake Up,Frenzy!
  7. Paper Triangle
  8. Bran-new lovesong
  9. Midnight Down
  10. Borderline Case
  11. RUNNERS HIGH
  12. 確かめに行こう

ニューアルバム「RUNNERS HIGH」のレコーディング直後に会った、山中さわおくんが言った、「たかちゃんスッゲェ、かっこいいアルバムが出来たから、楽しみにしててよ!」 ・・・私は、ひょっとしたら、アーティストのこの一言に会いたいがために、15年も、この仕事を続けているのかもしれない。 うちの番組に来る、ピロウズあてのリクエストハガキはちょっと、すごい数である。500万枚を超えたっていう、あのバンドより、たくさん来ることだってある。私は音楽が好きでたまらない、うちのリスナーの耳を信じている。ピロウズを、OnAirし続けている自分の心も信じている。そして、何よりも、ピロウズを信じている。音も詞もアレンジもライブも(ちょっとゆがんだ!?)性格も、全部、まとめて好きになれるバンドなんてそうめぐり逢えるもんじゃない。 そんな彼らから「ほぅら、ざまあみろ!」と思える音が届いた。いつものことではあるが、ピロウズの新しい音を、初めて聴いた瞬間、私の、この感動を、この笑顔を、この興奮ぶりを、まさに今、生で、本人達に見てほしいという衝動に駆られる私は、ストーカーばりの勝手なファンである。

NHK-FM「ミュージック・スクエア」パーソナリティー 中村貴子


ピロウズはここ二年でオルタナティヴの空気を腹いっぱい吸い込んだサウンドを容赦なく鳴らした。スタイリッシュであろうとして萎縮してしまっていたそれまでのサウンドやライヴ・パフォーマンス。彼らはそれらを自ら解体しようとしたのだ。 結果、ピロウズは過去の殻から脱皮することができた。それが前々作『 プリーズ・ミスター・ロストマン 』、前作『 リトル・バスターズ』で実を結んだ。そして新作「ランナーズ・ハイ」。この曲達に封じ込められた果てしない切なさ。そして、その切なさを抱え込んで生き続けることを宣言し、さらにリスナーに対して自分達の思いをストレートに投げられるようになったタフネス。『 ランナーズ・ハイ』は、サウンドばかりでなくピロウズの精神面の飛躍までがしっかりと焼き付けられた作品だ。このポジティヴィティはリスナーの気持ちにきっとジャストフィットするに違いない。 普通、バンドを十年もやっていると中堅バンド特有の停滞感にさいなまれるが、新作におけるピロウズはまるで昨日デビューした新人バンドのように溌剌としている。自らのことを伝えるべきリスナー、伝えるべき音や伝えるべきこと。それがハッキリとした今、ピロウズは『 ランナーズ・ハイ』をもって新しいキャリアを刻みはじめる。まばゆいばかりの意味のないポップの時代はたぶん終わるだろう。

音楽評論家 森内 淳


このアルバム『 RUNNERS HIGH 』のレコーディング最終段階。マスタリングスタジオで曲順に並んだアルバムを聞きながら、僕は6年前に初めて(今はなき)パワステで見たピロウズのライブを思い出していた。当時、リーダーの脱退、レコード会社との契約を失うなどドン底の境遇にいたはずのかれらの姿はみじんの不安も感じさせない、ひたむきで自信に満ちたものだった。そしてアンコールで山中が一人で弾き語りで歌った『 ANOTHER MORNING 』を聞きながら僕は恐いくらいの大きな予感に包まれていた。 彼らのニューアルバム『 RUNNERS HIGH 』が完成した。間違いなくthe pillowsの最高傑作だ。そして彼らのすごいところは、ニューアルバムを作るたびに各日に前作を上回る作品を作り上げてきたことだ。決して世渡り上手ではなく、時には回りに誤解もされながら、3人はレコードとライブだけを頼りにここまで全身全霊で走ってきた。 昔のthe pillowsが好きだった人にも、最近 the pillowsを知った人にも、今までthe pillowsのことを嫌いだった人にも、どうか彼らにとって金字塔とも言えるこのレコードを聞いてもらいたい。 the pillowsが巷にはびこるファッションだけのロックバンドではなく本物のロックバンドと感じることだろう。

浅田幸彦