the pillows 30周年記念第5弾 the pillows 30周年記念第5弾
the pillows
30周年記念第5弾


「1989年9月に結成して30年過ぎた。ハタチだったオレが50歳になってしまった。いやー、歳取ったなぁオレたち(笑)。でも今夜はこう言わしてくれ。オレは今でも“サリバンになりたい!”」と初期の名曲「サリバンになりたい」。続く「Please Mr.Lostman」では、大型LEDモニターにアルバム・ジャケットを思わせる枯木のシルエットが現れ、“年を取って 忘れられてく 痩せた枯木に”というフレーズが染みた。続く「No Surrender」では、“汚れ切った世界から 必ず連れ出してみせる どんなに悲しくても 生き延びて又会おう“と歌うさわおさんを観て、2011年3月の東日本大震災で、エンタテインメントの存在意義が問われる世論が飛び交う中、震災翌日の広島公演も開催し、3月29日にSHIBUYA AXで観たthe pillowsのステージが脳裏に蘇った。理由はわからないけど、いつもthe pillowsが自分たちの信じた道を迷わず進む姿に救われていた当時の自分を思い出した。


曲が終わるたびに“さわおさ~ん”と声がかかる様子に「今日は30年間で一番人気があるな。もしかしたら売れるかもしれない(笑)」と、ややシニカルなリアクションのさわおさんに場内は爆笑。続けて「永遠のオルタナティブ・クイーンに想いを馳せて」と、ザ・ピクシーズ、ザ・ブリーダーズの女性ベーシストを冠した曲「Kim Deal」。20周年の2枚のベスト盤で唯一新曲として収録された「1989」も胸を揺さぶる。“僕はずっと孤独だった 会いたかった 誰かに”。結成された年号をタイトルに掲げたこの曲は、淡々と始まり、the pillowsの楽曲でお馴染みのスタイル、後半にオクターブ上げる歌唱法で熱唱されたが、“Please,catch this my song 必要とされたい”という叫びが、10年後にこれほどたくさんのBUSTERSに必要とされていることに心をグッと掴まれる。一転して「ニンゲンドモ」では字余り気味なポエトリーリーディングで描かれる辛辣な怒り、憤りにハッとする。


「みんな無職(笑)? オレの言いつけを守って仕事辞めてきた? どうしたんだ? 平日にこんなにたくさん」と、さわおさんならではの言い回しで、集まってくれたBUSTERSに感謝を届ける。「じゃあ10年ぶりに歌うよ」と前置きされた「雨上がりに見た幻」は本当に名曲。冒頭でさわおさんのお母様がこの曲を「いいな」と語ったことがフラッシュバックする。「サード アイ」ではLEDモニターに3本の剣が現れクロスしてバンドの象徴曲として存在感を示し、続く「Advice」では激しい狂気の世界が迸る。the pillowsが積み重ねてきた音楽の多様性、バリエーションの豊富さが“これでもか!”と連打されて、場内のボルテージはどんどん昇り詰めていく。


メンバー紹介。サポートの有江嘉典さん(b)は、30年の一部分でも関われたことの喜び、お祝いの気持ちでプレイしていることを実直な言葉で語って盛大な拍手を浴びる。続いてシンちゃんは、「うちのお袋さんなんですけど...」と冒頭でコメント登場したお母様をイジって笑いを取る。Peeちゃんは「メンバーはもちろん、スタッフ、関係者の方々、そしてBUSTERS、30年間付き合ってくれてありがとう!」と誠実なコメント。実はこのあとに演奏された「Swanky Street」ではちょっとしたハプニングがあったのだが、これは生で体感したメンバーとBUSTERSだけが知る秘密ということでご容赦を。さわおさんがPeeちゃんに「お前がガラにもなく感動的なこと言うから、こっちはいちいち喰らってるんだよ(笑)」とツッこんだことだけご報告。「LITTLE BUSTERS」ではメンバーがステージ両脇の花道まで飛び出してBUSTERSとの絆を確かめ合い、「Ready Steady Go!」で本編を締めた。エンディングの“So I’ll live! Only this fact is wonderful”でさわおさんがいつにも増して歌声を響かせ、名残惜しさが伝わってきた。


アンコールでは「ストレンジ カメレオン」、「ハイブリッド レインボウ」と、バンド史において重要曲を連発。リーダー・上ケンさんが脱退し3人でバンドを続けると決め、廻りの声に惑わされずバンドの意志を表明した2曲だ。“別に悲しくはないのさ 抱き合わせなんだろう 孤独と自由はいつも”。そして30周年記念映画「王様になれ」でもキーワードとなった“昨日まで選ばれなかった僕らでも明日を持ってる”が、1万人超えのBUSTERSにリアルに届けられる瞬間に思わず鳥肌が立った。


「今日はオレたちにとっては特別な日だ。会いにきてくれてありがとう。オレたちみたいな偏屈なバンドが横浜アリーナに立って、こんなにたくさんの人がアニバーサリーを祝ってくれるなんて...、“不思議”だ」。続けてさわおさんは「オレは音楽業界を信用してない。だけどキミたちのことは信じたいよ」と言い放つ。このMCにこの日一番の怒号のような歓声が沸き上がった。評判、人気、ランキング、常識、しがらみ...。その全てに背を向けて信じる道を歩いてきたthe pillowsが、この場に駆けつけてくれた人だけは「信じたいよ」というメッセージ。BUSTERSはそれぞれ自分の胸の中にこの言葉を大切に仕舞ったように感じた。メンバーがステージを去って場内に流れる「Thank you,my twilight」には、自然と大合唱が起こった。“奇跡は起こらなくても充分だぜ 今日が最後の日でも”。


ダブル・アンコールで登場したメンバーは缶ビールで乾杯。2000年にアニメ「フリクリ」の主題歌に抜擢され世界にthe pillowsの名前を轟かすきっかけとなった「Ride on shooting star」。続いて最近アクエリアスCM曲として女性ボーカル版が話題を集める「Funny Bunny」が披露された。もちろんサビの“キミの夢が叶うのは 誰かのおかげじゃないぜ 風の強い日を選んで走ってきた”は、さわおさんはオフマイクで、BUSTERSの歌声が横浜アリーナに鳴り響いた。


「最後に、若者だった自分を救ってくれたもの、そして50代になったバンドを今でも救ってくれるもの。それは普遍的なものだ。ずっと変わらない哲学。新しいも古いもない世界。それは“ロックンロールだ!!!”」さわおさん渾身のシャウトから「Locomotion,more! more!」で、この至福の夜は盛大に幕を閉じた。


思い返せば、今日この会場に着くまでの間、東横線や横浜線の電車の中にも、そして新横浜駅から歩く道中も新横浜プリンスホテルのロビーにも、the pillowsのTシャツに身を包み、「バスター君」のキーホルダーをぶら下げたBUSTERSたちが溢れていた。1万人を超えるBUSTERSが横浜に駆けつけた特別な日。場内で整列していたセンタースタンディングのBUSTERSから、開場時間になると大拍手が沸き起こった。ライブが終了して帰路に就く間も、興奮して感動したシーンや想いを交し合うBUSTERSたち。その風景はコンサートの帰りというよりも、ラグビーやサッカーなど威信をかけて戦い、勝利したチームを応援してきたサポーターのように僕にはみえた。さわおさんの言いつけを守って実際に仕事を辞めた人は少ないかもしれない(笑)。でもこの特別な日に参加するために、仕事、学校、家事、その他諸々の事情をやりくりして、距離にも負けずにBUSTERSが全国から足を運んだという事実に感動する。


“DON’T FORGET TODAY!”。30周年を一緒にお祝いできたこの日を、僕らは一生忘れない。

取材;文/浅野保志(ぴあ)



























写真:橋本塁(SOUND SHOOTER)/ 玉井信吾

LOSTMAN GO TO YOKOHAMA ARENA


【立見エリア追加発売のご案内】 
10/17(木)横浜アリーナ公演のセンタースタンディング / アリーナ・スタンド指定席完売のため、2F立見エリアの販売を行います。
チケットは各プレイガイドにて9/29(日) AM10:00〜発売いたします。
2F立見 6000円(税込)


2019年

10月17日(木)

横浜アリーナ


【OPEN/START】18:00 / 19:00

【料金(税込)】 前売り 6,000円 / 当日 6,500円(税込)

【チケット】 センタースタンディング ブロック指定 / 指定席

【一般チケット発売日】 2019年7月28日(日)
ぴあ:https://w.pia.jp/t/pillows-30th/
ローソンチケット:https://l-tike.com/pillows
イープラス:https://eplus.jp/pillows1017/
楽天チケット:http://r-t.jp/pillows
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