山中さわお 2015 New Year Interview


──以前、ライブのMCで“自らアニバーサリーを祝ったりするタイプのバンドではないが、やるとなったらとことんやりたい”とおっしゃっていたのが印象的でした。

カラオケと一緒だね。カラオケに自分から行こうって言ったことはないけど、行ったら歌うし盛り上げるっていう感じかな(笑)。やるなら楽しむ。

──25周年は多彩なアニバーサリー企画がありましたが、その前にthe pillowsは活動休止がありました。さわおさんは“メンテナンス”と表現されてましたが、活動再開するにあたり2013年の9月16日にシングル「ハッピー・バースデー」が出ました。またthe pillowsが動き出すというタイミングに相応しい曲でしたね。この曲はどんな経緯で生まれたのですか。

少し記憶が曖昧なんだけど、とにかくthe pillows用ではなくて、ソロ・アルバム『破壊的イノベーション』に入れるつもりで作ってたんですよ、デモテープも軽く録ったりして。ソロ・アルバムを作ってるときに、すでに“the pillowsはどのくらい休んで、どのあたりからまた活動を再開する”というのが決まっていたので、活動再開をしたらすぐ25周年がくるっていうのを途中で気づいたんですよ。20年以上やってきたバンドをを活動休止するというのは、当然バンドとしての健康状態が最悪な訳ですから、そのことで頭を悩ましていたので、アニバーサリーのことなんて考えもしないじゃないですか。でも話し合いも済んで、“一年休んでまたやろうよ”ということが決まって、多分オレはすっきりしてて。アニバーサリーの直前に出るソロ・アルバムに「ハッピー・バースデー」という曲が入っているのは、エンターテインメントの面から考えるとちょっとヘタクソ過ぎるなと。これはthe pillowsに取っておこうと思ったんですね。元々全然違うアレンジで、もっと暗いオルタナのイントロダクションをつけてたんだけれども、活動再開するときに、これからは自分が細かく考えたアレンジをメンバーに再現してもらうのはもうやめようと思ったので、皆で考えた結果、キャッチーなシングルに相応しいアレンジになっていったという感じでした。

──結果的に、活動再開を待ちこがれていたBUSTERSたちにとってアニバーサリー・イヤーに相応しいシングルとして受け止められたと思うんですけど、次の企画として『ROCK AND SYMPATHY』というトリビュート・アルバムが出てツアーということがインフォメーションされました。この企画はどんな経緯だったのですか。

それは基本的にメンバーから出たものではないです。レコード会社のディレクターから“15周年のときに(『シンクロナイズド・ロッカーズ』が)出てから10年ぶりに、第二弾をやりたんだけど”というので。反対する理由はないし、第一回目もとってもいい思い出だった。2枚もトリビュート・アルバムが出るなんていうことはびっくりというか、しかもバンドがたくさん集まってくれた。トリビュートに関してはバンドの選別にもオレは口出してないので、このツアーで知り合ったバンドも結構いたし。僕が考えたのはジャケット周りのことと、『ROCK AND SYMPATHY』というタイトル。ジャケットもトリビュートということでthe pillowsを好きな誰か、モデルさんを起用したくて。例えばお笑い芸人とかでもよかったんだけど。それで夏帆ちゃんからthe pillows好きって言われたことがあったので、オファーしてみたら快く引き受けてくれた。

──全国8箇所に参加バンドを連れていって自分たちとツアーをやるという内容はさわおさんのアイデアですか。

どうだったっけな...。言わずと知れたムードだったと思うよ。事務所もレコード会社もメンバーも。“今回オレ、アイデアがあるんだ”ということではなかったから(笑)、誰が言い出したかも覚えてないけど、当然そうなるでしょっていう流れだったと思う。

──この企画では関係性の深いバンドから今回初めて出会ったバンドまでいて、それぞれthe pillowsの解釈の仕方、曲が選ばれたりアレンジされたり、ステージを一緒にやったりしていく中で、彼らから感じ取ったことはどんなことでしたか。

音楽力が高いバンドばっかりだったので、影響受けまくりだったからね。楽器の機材の話とかさ。the pillowsよりもみんなバキッとした音を出してたので、普通に“エフェクターは何使ってんの?”とか“アンプはどういうセッティングなの?”とかそういう話もしたし、あとはバンドだけではなくて、就いてるPAさんとかさ。全バンド、フルで客席で観たので、“ドラムの音こういう音もあるんだ”というのを自分の専属PAに“こういう風にやってみたいんだけど”って伝えたりとか。単純に楽しかったよね、楽屋もライブも打ち上げも。

──彼らと話をする中で、the pillowsに影響を受けてきた若い世代のミュージシャンたちがthe pillowsに対するいろいろな想いを伝えてたと思うんですけど、そこからさわおさんたちが25年やってきたthe pillowsについて客観的に感じ取ったことはありましたか。

着実に種は蒔いてたんだなと思いました。特にリスナーだけではなくて、こういうコアな音楽ファンから、楽器を手に取りプロになるほどの情熱を持ったロック・ファンが、青春時代、中学とか高校のときに、そんなにthe pillows売れてないはずなの、その頃(笑)。でも“そういう人たち”にはちゃんと届いて種を植えてたんだなって。それが芽が出て花が咲こうとしてる。もう咲いてるって言っていいのかな。それを本当に具体的に見た訳じゃない。種を蒔いた瞬間は自分で見てないけど。それが育って花が咲いてるのを見たので、自分の人生に対して達成感はありますよね。『Please Mr.Lostman』、『RUNNERS HIGH』、『HAPPY BIVOUAC』、『MY FOOT』とかそのあたりが好きなミュージシャンが多くて。その当時は身近なバンドの後輩は誰もがハイスタ(Hi-STANDARD)かミッシェル・ガン・エレファントが好きっていう感じだったからさ。時間はかかったけど今となれば(自分たちも)そういうバンドだったんだなと思って、それは単純に嬉しいよね。

──そして「About A Rock’n’ Roll Band」を作られて、この曲はずいぶん前からライブで演奏されてましたけど、これは逆にさわおさんが若かりし頃に影響を受けたロック・バンドをリスペクトして歌っている曲ですね。自分がミュージシャンを目指すまでの想いと、自分を目指してきた若いバンドとのコラボが俯瞰して見ることができて、とてもいいアニバーサリーだなぁと思いました。「About A Rock’n’ Roll Band」はアニバーサリーがスタートしてから作ったのですか。

そうです。「ムーンダスト」がすごい前からあって、「ハッピー・バースデー」と同時にあったんですよ。活動再開したらこれをやろうと思って作ってたので。それも全然違うアレンジでひとりで作って(笑)。最初は「ムーンダスト」をシングルにして、アルバムのタイトルを「About A Rock’n’ Roll Band」。25周年のアルバムは“ロックンロール・バンドについて”というタイトルにしようと思ってたの。実際と逆だったんですよね。だから結構早い段階からライブでは披露してたんだけど。経験上「ムーンダスト」みたいなロックバラードは、20周年のときの「雨上がりに見た幻」がそうだったんだけど、いい曲だと本人は思っていて評価されても、やっぱり30分、45分のステージでなかなか演らないんですよね。存在が濃すぎるというか。濃厚すぎてその1曲があると他に何を演るかがその1曲に引っ張られちゃうというか。だからもっと楽しい感じの軽い曲の方がアニバーサリーが終わっても演っていくだろうなと思って。感動的なものよりも軽やかに行こうかな、って思って逆にしたんですよね。でもよかったかな。すごくしっくりきた。